シュンの日記なページ

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ホールド・ザ・ライン

 やっと家に電話した。ぼくが家に電話するというのはよほどのことだ。どんなに長い出張でも家に電話をかけない。実際に家で家族に会ったって、食卓を囲んで酒を呑んだときくらいしかおしゃべりをしない。
 こんな家族は、駄目家族だと思う。まともに人の眼も見ない。テレビ越しに会話をする。
 用事がなければ電話もできない。でもそうやって延々家族を営んできている。
 子供にだけは無駄口を叩くけれど、最近は子供にも避けられてしまう。
 昨日、妻の実家に行ったら、妻の母は、要するに義母は、妻子の状況をよく知っているのでびっくりした。妻は、自分のママとはよく話をしているのだな、と改めて気づく。
 でもぼくはもともとあまり余計なことを話す方じゃないから、電話が苦手だ。
 駅からのゆるい坂道を下って歩いているとき、携帯をまさぐったが、やはり躊躇ってしまった。静かな道路で、誰もいないけれど、自転車で後ろから追い越して行く人に会話を聞かれるかもしれないと思うと、やはり外でなんか電話をかけられなかった。
 家に着いて、着替えて、フライパンに油を落としながら夕食の準備をしかけて、ようやく電話をかける。金曜日に戻るよ、と伝えた。夕方に、多分。向うも、金曜日にね、といつもの眠そうな、少し酒が回った声で答えた。そういう時間帯だ、と気づく。21時過ぎ。こっちは何か食い物をこれから用意するんだよ。ああ、そう。
 そんなものだ、電話なんて。
 息子の声が聴きたかったな。でも、まあ、いいだろう。週末に会える。
 札幌の行きつけの床屋に寄って、できたら、マッサージを受け体をほぐしてから、家に辿り着こうと思う。土曜日は、一日、家で過ごそうと思う。日曜日に、またさいたまに戻ってきて、来週の月曜日からはばりばり仕事をするんだ。今日は、そう、誓った。そう誓ってから、上司に有休を申請し、部下に有休を告げ、新しい仕事を片付けにかかったのだった。
 まっさらの新しい日々が始まり、その中に、札幌の雪景色が否応もなく紛れ込む。相対的なものがミックスしている。本当に、変な生活だ。