シュンの日記なページ

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心が軋む音

 凍った函館の朝。昨日よりは具合がよくなっている。何とか朝ごはんも入った。朝食バイキングはビジネスプランに含まれているのだ。
 
 

 でもふらつく。眩暈。発汗。無理矢理車に乗り込み、ハンドルを握る。

 途中の無人駅『蕨岱』で写真を撮る余裕があるのだから、そうひどくはないだろう。

 

 

 長いドライブの末、札幌に戻るや否や、行きつけのクリニックに飛び込んだ。先生と相談の上、早く直したいので、という理由で、抗生物質の点滴を受ける。降圧剤の処方をしてもらっているホームドクター。この医院への毎月の通院も、転勤によってできなくなるのだろうか。そうなると紹介状のようなものを書いてもらうことになるのだろうか。相談しようと思ったが、なぜか躊躇ってしまった。もし月に一度の帰省までに、薬が間に合わないようだったら、さいたまの医院を探すか、少し多めに薬を処方してもらっておけないだろうか、などと思い迷っているうちに、医院を後にしていた。
 家に帰ると、息子が引越し屋の見積の電話を受けていた。一社はぼくの携帯にかけてきたのだが、もう一社は自宅の電話に、それも息子をぼくと勘違いしてぺらぺらと話してしまった。せっかく今日、息子に父親から単身赴任の話を告げようと思ったのに、何とデリカシーのない営業だろう。この時点で引っ越し会社はもう一方の方に決まり。
 いずれにせよ夕食の間、その話をした。息子も戸惑ったと思う。思春期である。一見無表情だが。
 一家総出で引っ越しをするのかと一瞬不安に捉われたのだそうだ。母親に、引っ越しをするの? と尋ねたそうだ。妻が、ぼくの引っ越しを説明した。そこにぼくが帰還したところだったらしい。正直ほっとした、というのが息子の気持ちらしい。息子も当然ながら、多くの親しい友人との別れを引っ越しによって経験している。いつも去られる側だったわけだが、去る側にはなりたくないという。
 友人が札幌から東京に転勤になったとき、高校生の息子を一人で下宿住まいさせた話をしてみると、我が息子も、それもいいね、と言ってみせた。
 本音、寂しくないか? と聴くと、それはあると照れながらぼそっと呟いた。一人っ子だし、寂しがり屋だ。長い出張から帰ると、どこかうきうきしてぼくを迎える。ずっと昔から、今も。
 夜更けて、皆が寝静まってみると、息子の表情が離れなくなった。心が軋む。でも、どうしようもない。