シュンの日記なページ

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地神初詣、そしてアルプスの映画

 除雪車が一応夜中に通っていったものの、大晦日の晩ということで、出動台数が少ないのか、いつものようにきちんと除雪されている感じではなく、応急手当程度に、雪を両脇に寄せてみたからね、とでもいうような形に、道路の両側に雨で堅くなった岩のような雪がごろごろと、壊れた大量の雪だるまみたいに転がっている。
 その代わりここ数日吹きすさんでいた風がやんで、青空が広がり、穏やかで暖かな過ごしやすい冬の空気。
 2009年元旦の朝は、こんな風に始まった。
 中三になる息子を連れて近所の神社に初詣に出かけた。息子は高校受験目前だから、本当は中央区の電車通りにある神社など、菅原道真公を祀ってある神社の方がいいのだろうけれど、地神様でいいんだよ、と誰かに聞いたことがあり、それなら毎年札幌に来てから欠かさず詣でているこの神社でいいだろうと、例年のように足を運ぶ。
 幼かった息子もすっかり大人びてきて、背ばかりひょろりと伸びて、父親のぼくを追い越す勢いである。
 手水で手を清め、鉦を鳴らし、かしわ手を打つ。白無垢の衣装を身に纏った可憐な巫女さんたちの並ぶ社務所から、合格祈願の絵馬を買い所定の場所に吊るし、御神籤を引いて注連縄にくくりつける。息子のみ引いた御神籤は中吉で、学問に関しては怠りなければ叶うなどと、誰にでも通用しそうな当たり障りのない助言が書かれていた。

 写真は1998年のものと2000年のもの。十年一日の想いだ。

 

 

 ちなみに今年は参拝客が少ない。昨年は鳥居の方まで列を成していたのに、賽銭箱まですっと辿り着ける。景気が悪いので混んでいるのではないかと危惧したのだが、世の中の人の動きというのはわからない。
 家に帰ると、昼からは、剣菱をお屠蘇に簡単なおせちをつつき、どうでもいいようなテレビ番組を見る。
 夕食後になってようやく、何かをしようという気が起こり、DVDを一本観る。今年最初の映画は『脱走山脈』。昔、フランシス・レイの映画音楽が流行りだった頃、つまり深夜放送が盛んだった頃、ぼくの中学時代だ、買ったレコード・アルバムに収録されていて、とても気に入ったのが『脱走山脈』のテーマ。ナチス占領下のドイツ、動物園から象を連れ出し、アルプス越えをしてスイスに脱出するイギリス兵の物語と聴いて、あまりに壮大なストーリーに感嘆し、想像した。アルプスの尾根をゆく兵士と象。その映像を勝手に思い描いていて、その背景にフランシス・レイの音楽がかぶさった。
 でも映画は観たことがなく、ようやくネットで取り寄せたDVDでその機会にありついたというわけだ。

 脱走山脈 [DVD] 


 古い映画であるにも関わらず、リリシズムとユーモアとそれにふんだんなアクションシーンに満ちており、想像した以上に素晴らしい作品であった。ぼくの思い描いていた映像はさすがにどこにも登場しなかったけれども、ヨーロッパ・アルプスの雪を抱いた山々は美しく、その懐に散在する小さな村々や、村人たちの風景は、癒されるほどに心打つものがある。ようやくこの映画に辿り着いた、という思い。
 まずは苦労を横に置いた休息の元旦にしか得られない幸せを噛み締め、こうして一年が始まる。