心の時代
今は2008年。Superflyがウッドストック世代への憧れを歌った曲は、「1969」。
気づいたのだが、カルメン・マキが太っておばさんになってからステージへの復活を果たしたときに「1999」という曲をリリース。こちらの歌詞はけっこう過激で、Superflyの知らなかった1969を、30年前のこととして懐かしく思うと同時に、1999年現在の変わってしまった若者文化を、飽食の時代として嘆いてもいるように聴こえる。
どちらにしても、あの時代をよき心の時代として取られている点では、経験の有無に関わらず違いはない。
音楽という形で多くが残されている時代だ。日本の女性ロック・ボーカルを代表する二人が奇しくも同じ時代に心が縛りつけられているという事実が、今さらながら楽しい。
かく言うぼくも、完全に縛りつけられているのだけれども……。
そう言えば、あの時代に美味しいなあと皆で飲んだ日本酒「剣菱」を今日は買いに出かけた。熱燗で呑むには本当にちょうどいい酒だ。夕食時に鍋料理と一緒にぐいぐいとお猪口を傾けた。あの頃は、6畳一間の安アパート生活だったから銚子もなく、薬缶で酒を沸かした。今では電子レンジでチンしてしまえる。時代は前に進みすぎたのかもしれない。
「剣菱」の一升瓶は、高くてなかなか手が出なかったのだが、今では、なみいる日本酒の中でも一番安い部類。生活はあの頃の方が精神的に豊かだったろう。
ともあれ「剣菱」が安くなったのは、有り難い。