パーソナル・ドリンク

　呑み会なのに、意見交換会とか言わないといけないのだそうだ。社内規定では。そんな意見交換会のために、一旦、家に帰り、バスに乗って札幌の街中に出てゆく。いつも利用するガード下の居酒屋で飲み放題メニューでのおつきあい時間を過ごす。若い頃はこういうものが楽しみだったけれど、中間管理職になってからは、気を使うので疲れるのだ。
　その数時間後には、ぼくは地下鉄で北の端っこに移動しており、独りでいつものカウンターに座っていた。ミステリの新刊の話などをマスターに教えてあげたりして飲んでいるのだ。焼酎ボトルを預けてあるから、立ち上がって、タクシーに移動すると、千円でおつりがきたりするのがたまらなく嬉しかったりする。やはり酒はパーソナルなものなのだよな。