続・古いレコード
楽音舎より連絡があり、大幅にレコードの買取査定が遅れるとの内容。実は、埃や黴に覆われたジャケットを拭き取り終わったのが今夜だそうで、その後、内容を確認しようと、ディスクを取り出すと、他のもろもろのものが一緒に出てきたりする、とのこと。詳しい説明はなかったが、ぼくの想像範囲内だけでも、それらはおそらくネズミの糞であったり、ゴキブリの羽であったりする。とにかくそれらを掃除機で吸い取ったのだそうだ。これは査定価格にかなり大きく影響するに違いない。何しろ18年間、独居老人の住まう半廃屋のようなところに眠っていたレコードなのだ。限界に近いくらい汚れている盤も混じっている、いや大半がそうなのかもしれない、と恥ずかしさでいっぱいになった。
そうは思いながらも、店主にぼくはこう告げるしかなかった。
すみません、本当に汚くって。でもせっかくのレコードなので、甦って、好きな人の耳を楽しませてくれば兄としてはありがたいのです。
亡き弟への供養の思いであり、実際のところ本心なんである。