札幌駅今昔

　ステラプレイスの６階で酒を呑む。
　札幌駅はＪＲタワーができてからとても変わった。昔は閑散としたローカル色豊かな田舎の駅だったのだが、あの頃のように夏には必ず駅前でシュラフを広げていたライダーたちの姿はもうどこにもいない。
　誰が、新宿西口や、渋谷のハチ公前で寝袋を広げて眠ることができる？
　今、札幌の駅前で眠ることのできる人はそうはいないだろう。ホームレスだって、ステラプレイス前のお洒落な地下通路で戸惑っているくらいだ。
　昔、寝袋とニューワイド周遊券を片手に北海道を回っていたぼくのような元若者にも、今の札幌は眩しすぎる。グラスを傾ける視線の先には夜空があり、その下には雑貨デパートであるロフトが渋く眩く光っている。
　独りになり、地下鉄南北線。ススキノか麻生かと迷っていたが、南行きの電車が出発したところだった。次は北行きの電車だったので、それに乗り、麻生の行きつけのカウンターでバーボンの残りを片付ける作業に取り掛かった。ステラプレイスよりもずっと気楽に座っていられる止まり木で。
　平日の夜だが、明日は午前休を取っている。たまには羽を伸ばすのもよいだろう。