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影が射す

crimewave2008-07-05

 2008 J1 第15節 浦和 2 vs 0 F東京(埼玉)

 永井はいつの間に決定力がついたのだろう。
 かつてJ2時代に室蘭サッカー場であと一点というときに目の前のゴールに入れられず宇宙開発をやってしょげていた永井が忘れられない。あれは札幌に結局勝てなかったシーズンだったから、北海道在住のレッズサポとしてもとても辛い試合だったのだ。
 今日はその永井がとどめの一撃を突き刺したことで決着がついた。ゴール裏のサポは目の前でファンタスティックなゴールを目撃して、相当嬉しかっただろうと思う。前節が酷い内容の負け試合だっただけに、憂さが晴れるような一発だったろう。隣の人や前後の人とハイタッチを繰り広げただろう。こういうときは、ゴール裏で見ていないことで非常に悔しい思いをする。
 しかし、その前、田中達也に永井を代えた監督采配について、ぼくがどう思ったかと言うと、またかよ、の怒りの思いが強かったのだ。前節、ポンテを代え、その策が裏目に出て趨勢を相手に持ってゆかれ負けたのだ。
 永井を田中に代えた途端、ポンテが足を痛め、計算外の交代を余儀なくされた。この辺の監督の勘の鈍さのようなもののおかげで、せっかくのチームの勢いに一気に影が射した。前節、ポンテを下げた瞬間と同じだ。相手にしてみれば幸運の時が訪れたようなものだろう。
 結果、永井は点を取ったものの、交代選手が正しかったかどうかは、それまでのFC東京の勢いづいた攻撃を見れば、明らかではないだろうか。
 ユーロ2008年を制覇したスペイン代表のルイス・アラゴネス監督は、69歳だというのにとても勘が当たり、常識を覆すような采配が見事に機能してしまうので驚かされた。結果オーライというレベルを超えた、この監督の采配ならもはや何をやってもいい、とまで思わされた何かがあった。
 ギド・ブッフバルトも勘が鋭い采配で、山田の1.5列目起用、永井の右サイドバック起用、などあっと驚く采配で、しかしそれが功を奏してしまうという奇蹟を何度も繰り返すうちにサポを納得させてしまう。現役時代にも十分に横溢していた才気を、初めての監督業でも証明して見せた。
 そういうものがゲルト・エンゲルス監督にないわけではないと思う。しかし彼の監督業を邪魔するのは、彼の優しさではないだろうか。ベンチを暖めている選手たちをずっと何試合も座らせておくままにせず、どこかで無理にでも使ってゆくという采配は、選手全員にモチベーションを与えるという効果もあるが、試合にすっと影が射すような魔の時間を与える毒気に満ちた采配になることもあるようだ。そんな時サポは不可解さに捉われ、監督への不信感を露わにする。
 そんな影の濃い時間が、きっと、永井のゴールで沸くまでの長い時間を通して、ゴール裏を領していたのではないだろうか。ぼくの心にも深い影が射していたのだから。