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夜明けシミュレーション

crimewave2008-06-30

 今日も遅い帰宅。20時を半分も回ると、東京勤務時代なら23時の帰宅。だが、今は21時には家に辿り着いてる。そこが地方勤務の素晴らしさだ。
 待ちに待ったユーロ2008ファイナルを、録画観戦する。今日ばかりは、夜明けのライブをチェック。再放送を見るのではなく、日本時間、午前3時から始まったライブ番組を、まるで徹夜し、夜明けを生きているような感覚で、心引き締めて見るのであった。
 スペインのシンクロナイズド・フットボールは、最初のうち、さすがにファイナルの重圧か、ふたがれたような動きの悪い出だしで始まった。しかし次第に一本のパスが、どでかいドイツ人ディフェンダーの間を切り裂くようになる。最前線では、絶妙の動き出しを何度も反復してやまないフェルナンドトーレスの雄姿が常にある。
 そして次第にスペイン・ペース。絶妙のパスが、稲妻のようにピッチを切り裂き、フェルナンドトーレスの右足が、最速の動きの中で一閃。ボールは対角線上のネットを揺らし、すべての時間が止まるのだ。う、美しい!
 カタルーニャの戦士であるシャビのパスを、マドリードっ子であるフェルナンドトーレスが受ける。互いに憎しみ合うはずの民族同士ゆえに、まとまりに欠けると言われてきた代表チームが、緑の芝の上で一つの、永遠に消えることのない瞬間のアートを描いてのける。
 そこからの守備、そして連動する攻撃さえもが、見ごたえに満ちていた。幸福な時間の持続。
 表彰式。ドイツ選手たちの項垂れた表情が、ユーロの重みを沈黙で語り出す。シュバインシュタイガーの恨めしげな眼差し。バラックを表彰台で格別に慰めるプラティニ会長の温もり。
 そして、69歳のラスト・ヒーローを胴上げする20代のスペイン選手たち。何故かTV画面が、霞んでくる。どんな作られた映画やドラマよりも、ずっと重たいホンモノのドラマ。そいつにぐいっと引きずられ、心を引っ掴まれ、どうにもできなくなった自分を感じる。視界がさらに滲んでくる。夜明けの実感。