ガード下の宴

　会社を出て、車で家に帰り、それからバスに乗って札幌駅北口を目指す。今日は、飲み会。
　普段使わないバスの路線がよくわからず、目的地よりだいぶ手前で下車してしまった。その分を、歩く。手頃な運動。生ビールを美味しく飲むための。
　ガード下の店たじま屋。電車が通ると、ものすごい轟音が体を揺する。昔、そう言えば御徒町あたりのガード下の激安焼き鳥屋で、山岳会仲間とよく飲んだものだった。週末には山に出かけ、平日には列車の轟音に揺すられながら、たらふく酒を飲み、山の哲学を論じた。
　札幌にもそんな一角があるのだが、激安焼き鳥屋ではなく、お洒落な海鮮居酒屋である。靴は最初に預け、板張りの小上がりで落ち着いた雰囲気の中、美味しい料理をつつく。昔の山仲間とは絶対に入りそうにもない空間。あの汚くて飾らない庶民の空間が、なぜか懐かしくなって、じんと来てしまう。