シュンの日記なページ

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北国の青い空

 朝も築地。雨の東銀座である。
 もちろんきつねやでホルモン煮とご飯。50円くらい値上げされている。通りかかるおばちゃん軍団が、煮込みの巨大鉄鍋を見て「美味しそ〜!」と叫んでゆく。ならば通り過ぎるな、と言いたいのだが。本当にここの煮込みは美味しい。一味をたっぷりかけて、白い熱々ご飯と一緒に食べる雨の朝は、まるでモンマルトルのカフェで過ごす若きパリジャンの一日の始まりのようだ。道路っぺたで食べているのがカフェテラスと強引に言うことができれば、だけど。
 タクシーの運転手と話をする。北海道ですか、来年は夫婦で北海道旅行をしようと思っているんですよねえ、今年右は別のところにゆくって決まっているので。運転手が、そんなことを言う。北海道には一度も行ったことがない、というのでさんざん北海道の自慢をした。運転手が、いいなあと羨ましそうな相槌を打つ。どうだ、どうだ、いいだろ、とぼくは誇らしげに北海道を語る。
 空港に早めに着き、待合室で本を読みながら昨夜のペットボトルの残りのお茶を飲み干す。最近は、空港のラウンジでゴールドカードの提示と引き換えに、気取った空間で無料のコーヒーを飲むということが逆に貧しいことであるように思えてくるようになった。待合室の庶民的なベンチでペットボトルを飲むか、プロントでカプチーノでも買って蓋を開け閉めしつつ崩した姿勢で椅子に体を投げ出すか、ってことの方が自分には居心地がいいのだと気づいた。
 飛行機は分厚い雲を通り抜け、北海道直前で青空に飛び出した。いいぞ、いいぞ、と、またタクシーの運転手に自慢したくなる。
 新千歳空港は、太陽の光に溢れた、初夏のような気配であった。透明で乾いた空気に包まれたウィーンの午後、といったところか(また、無理な形容を!)。
 道央道輪厚SAでソフトクリームを買い、ベンチに座って青空を眺めながら酪農王国特有の乳成分を味わった。昼飯を食べたばかりだし、特に甘いものがほしいわけでもないのに、なぜかソフトクリームを食べるという行為がしたかった。これぞ、冬の終わりだと、いう気分だった。