例えば、時間の値段
朝からガソリンの値段を見て車を走らせる人が多いのだろうな、と考えながら、通勤途上のあらゆるガソリンスタンドで、様々に異なる価格を見ている自分がいる。モダ石油が121.7円でテレビニュースにも北海道新聞の写真にも登場し、昨日までの平均的な価格である152円くらいのリッター単価が嘘のようだ。
通勤途上ではキグナスの125円が最も安く、出光が127円、コスモは148円、エネオスは絶望的な155円であった。もちろん高いスタンドには車は一台も入ってゆかず、127円くらいのスタンドにはそこそこ給油中の車が目立った。税金なしで127円って、一頃の感覚では高すぎやしないか、と思う。
家内は近所のセルフスタンドで119円で入れてきたのだそうだ。なんだ、テレビでさんざんやっていたおかげで渋滞まで作っている札幌新道のモダ石油より2.7円も安いじゃないか。
ぼくはバーゲンセールに並ぶ人の気持ちがわからないのだが、スタンドに渋滞を作ってまで3円差にこだわる人の気持ちも実はわからないのだ。ゴルフ場の利用料金なんか、1万5千円のところもあれば4千円のところもある。平日休を取ってゴルフやスキーに出かければ、それだけでガソリン代よりもずっとコストとしては得をする。
リアルなぼくの生活のうえで言うならば、本を一冊買わずに図書館にリクエストして借りて読む、ということだけでも2000円前後の得をしちゃう。カップヌードルではなく、インスタントラーメンを茹でるだけでも、80円くらい得するし、もっと凄いのは、四月の航空運賃、来週の札幌-東京間チケットをネットで入手したのだが、得割7の往復で37,000円くらいであった。まともに買えば片道30,200円なのである。こうして考えると、ガソリンスタンドに渋滞を作って並ぶ時間は、本でも読んで過ごすことに費やした方が、やっぱりぼくの場合ずっと嬉しい。
時間はリッター2円の差で買ってしまえばいい。航空券を買うときに、軽くネット経由で、数万円のディスカウントにありつくことを考えた方が、ずっといい。
時間の値段をゼロだと考えるから、人は行列の後ろに並ぶんだろうな、きっと。