『餓樂苦多』

　小川勝己って作家が好きなんだけれど『葬列』からこの方あまり大きなヒットを飛ばしていないし、年末のベストにも顔を出してこない。
　『餓樂苦多』という作品を書いているらしい。『この指止まれ』に出てくるキャラと『まどろむベイビーキッス』に出てくるキャラが、遡った時代に登場するらしく、傾向の違う二つの作品がどのように融合してくれるのか、今から楽しみだ。

　

　『この指』は詐欺師、ベイビーキッスはキャバクラ嬢、と社会のどちらかと言えば裏側を漂流してゆく者たちの必死のサバイバル劇が、いつも過激で、黒すぎて、一般受けしてくれないのかもしれない。
　ぼくはこの作家はしっかりと自分のカラーを出しているノワール作家として面白く読んでいるのだけれど。いっそシリーズ作品でも書いてしまえばいいのに、と思うのだが。