シュンの日記なページ

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留守番バカ医者

 今日、ホームドクターであるクリニックを訪ねると「3/6-22まで海外の学会出席のため、代わりの先生が診療しますことをご了承ください」との張り紙。待合室に入ると、何だか甲高いヒステリックな声が診察室方面から聴こえてくる。「眩暈がするの? え? 真っ暗? 視野が狭いんだね」などという声が聴こえる。しばらくすると、おばあちゃんが一人、心細そうな表情で出てくる。あんなに患者の様子を復唱して待合室にまで響かせるドクター、って一体……
と不安に思っていると、診察室前の椅子に呼ばれる。
 そこでさらに待たされる。患者のいない診察室でカルテを記入しているのだろうか。異常な長さを待たされた挙句中に呼ばれる。
 いつもの血液検査結果を知らされ、よし、今日からコレステロールを下げる薬を呑みましょうか、といきなり言われる。血圧も、いつもの老先生ならベッドに寝かし、横臥位と座位とで二つの測定をするのに、椅子に座ったまま一歩も動かず測定され、下が90だね、うーん問題だね、と不安がらせるようなことを言う。
 コレステロールなんていつも正常値なんですけど、と言うと、だってほら、異常値じゃない、と言われる。ほんのちょっとだけ正常値の上限をオーバーはしている。
 「でも、その時だけでしょ。いつもコレステロールなんて正常値を示しているんですよ」 
 「いや、いつも高いから異常だって言っているんですよ。ほら、先月だって220」
 「あれ、220までが正常値なんじゃないのですか」
 「ま、そう言うならもう少し様子を見ますか、食事制限をするなど気をつけてもらって。大してオーバーしているわけじゃないし。でもこの薬を飲むと、他のいろいろなところが改善されるんだけどなあ」
 「それ、飲み始めるとずっとやめられなくなる薬なんじゃないですか、降圧剤みたいに。降圧剤を始める時にも先生と慎重に相談した挙句決定したんですよ、そんなに軽く飲み始めていいんですか、主治医の意見も聞かずに」
 もう、相手のドクターは切れていたんだろうね。若いが、マスクと眼鏡で顔の大半を隠してしまっているが、猫背で机に蹲り、オタッキーを絵に描いたような風貌で甲高い声できんきんと苛つくような内容を無神経に口にする人、ということがあっという間にわかってしまった。
 留守番医者なら、留守番らしくあれよ、と思いつつ、
 「で、コレステロールを下げるにはどんな食事制限をすればいいんですか」
 間。それも長い、間。若いドクターは気に障ったのか、苛立たしげにぼくを見下ろし、挙句
 「あのねえ、市販の本とか買って読んで自分で勉強する、くらいしてくださいよ」
 もういいや、って本気でそう思った。
 診察室を出ると、立ち会っていたナースが採血をする前に、コレステロールを下げる食事療法、というようなパンフを渡して微笑んでくれた。この人は、ぼくの息子の友人のママでもある。血液を採りながら、イカ、卵、レバーなどを食べちゃ駄目です、というようなアドバイスをくれた。
 待合室に戻ると、初診の患者たちに、来週から院長先生が戻るから、それからの方がいいんじゃないですか? と受付の女性陣が説得し患者に帰ってもらっている。そのほうがいい、とぼくも内心肯いていた。
 会計のとき。初めての検査項目なので料金が調べないと出ないので、次回一緒に精算させてくださいと言われた。あのバカ・ドクターめ、病院中に嫌われ光線を振りまいているみたいである。
 当のぼくは、予定時刻よりもずっと時間がかかり、すっかり遅れて仕事場に戻る羽目になった。