暗い船出
休日出勤から戻り、夜、ゆっくりと浦和レッズの試合ビデオを観る。
最初は細貝の元気さが目立ったが、後半、高原、鈴木と引っ込めて行く監督の相変わらずの日替わり気まぐれのおかげで統率が崩れてゆくのを感じた。個人で打開しようというプランなのだろう。器用なドリブラーである永井、梅崎を投入して前線の撹乱を狙うが、問題は、ボールを奪った時に押し上げない後方の布陣に問題があるのだとは、一度も考えていないみたいで、落胆することのこの上ない。
まず、坪井だが、この旧態依然としたディフェンダーはどうだろうか。ディフェンス専門であり、攻撃に転じることのできない選手がこの先も必要なのだろうか。パススピードが弱く、展開もできない。上がっても仕事をできないし、パス先を探し、迷う姿ばかりが印象に残る。せっかくの俊足が、全然生きない。
攻撃スピードの素晴らしさという点でマリノスの山瀬を見てしまうと、やはり長谷部の穴は大きいと感じる。長谷部や小野を出してしまったフロントに問題ありとも感じる。司令塔無しの浦和レッズに策がなく、呆れるほど脆く、弱い。
一方で名古屋は、ピクシーがしっかりとユーゴ代表みたいな戦略を持ち込み、スペースにフリーランニングで仕掛け、長いボールでゴール方向に向かうシンプルな多重アタックのサッカーを見せてくれていた。前節のマリノスと言い、グランパスと言い、かつてより苦手だった相手に、今この時代ふたたび負け始めてるのを見るだけでも悔しくてならないのに、どちらの攻撃陣をも羨ましく感じさせてしまうレッズの不甲斐なさこそ罪ではないか。
オジェクという監督がいいのか悪いのかわからない。95年に長居でぼくは四試合目にして初の一得点(福田のゴールだ!、それもサドンデスの延長ロスタイム!)を眼にし、その後オジェクのレッズは10連勝で一気に上位に躍り出てゆく。結果は万年最下位から一躍3位へ! 今後のレッズが、あんなことになってくれるのかどうか、今のオジェクを観ていても万感の信頼を覚えることができない。
あのときは永井、福永という活きのいいスター選手が次々と強烈なデビューを果たしたのである。
そうした新人若手を使わないオジェクは、今のレッズにフィットするのか? それに今後育ってゆかねばならない若いレッズを作れるのか? そんな疑問でいっぱいだ。
いずれにせよ、このめげた気分を引きずっていること自体が、たまらなく厭わしくてならない。何万人ものレッズサポが似たように、今夜は眠れない夜を過ごしているに違いない。