書店での失敗
その作品を全然読んでいないのに嫌いだというのも何だが、ぼくは辻仁成という人が嫌いだ。ラジオ番組に出演しているのを何本か聴いただけで、ああ、駄目だ、と思ってしまったほどだ。
なのに辻仁成の本を買ってしまった。
原因は自分の習慣にある。書店で平積みになっている本の一番上になっているものは、いろいろな人の手に触れて汚れている気がするので、ぼくはいつも二三冊下の本を抜き取って買うことにしている。今日も、仕事が引けてから遅くまで営業をしているコーチャンフォーに寄り、何冊もの本を買った。ぼくは宮部みゆきの文庫本『誰か』を買ったつもりだったのが、家に戻るとそれがどこにもない。代わりに辻仁成の『99才まで生きてがんばろう』などという、いかにも趣味ではない本を買ってしまっていたのだった。
平積みになっていた『誰か』の一番上の本ではなく、二三冊下の本を選んで籠に放り込んだ。よく確認しなかったのが悪いのだ。それでもよりによって嫌いな人の本が、大好きな宮部みゆきの本の下に紛れ込んでいることは、いくらなんでもないじゃないか。
今日は全然運が向かなかった。しくしく。