『三浦和義事件』vs『コールドケース』
島田荘司の『三浦和義事件』は、『秋好事件』に続いて、新本格畑の作家が、冤罪疑惑のある裁判をさらに掘り下げたドキュメント・ノヴェルとして読みごたえのあるものだった。
ここに来て、サイパンで三浦和義氏をアメリカ捜査当局が逮捕、の報道がされ、新たな証拠の有無などが騒がれているが、ニュースの真実そのものよりも、ぼくは、この『三浦和義事件』の続編の可能性のほうにちょっとぞくぞくしてしまう。
それからアメリカ側の事情としては、未解決事件捜査班という新たな部署が三浦を追跡しているという点が、娯楽小説の側から見ればポイントである。もちろんハリー・ボッシュシリーズ最新作『終決者たち』で、ボッシュが復帰した部署がサンフランシスコ市警コールドケースだからだ。
当然、ジェリー・ブラッカイマー製作のドラマ『コールドケース』のフィラデルフィア警察のリリー・ラッシュの美貌も思い浮かぶ。心の中ではボッシュとラッシュの合同捜査なんていうのも妄想的に思い描いているのだが。