シュンの日記なページ

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ストーブの匂い

 朝の気温が10度か11度しかないので、さすがに寒い。薄い布団ではよく眠れず、目覚ましに使っている携帯に夜中、何度も悪戯メールが飛び込んできて、その音に飛び起きる。別の目覚まし手段を考えなくてはならない。
 もちろん車に乗り込むなり暖房を入れるが、温まるまで時間がかかる。エコ・ドライブも寒冷地には厳しい。オート・スターターが流行るわけだ。
 会社に着いて、あまりの寒さに、机下の電気ストーブのスイッチを入れる。今年初めてのストーブの匂いがオフィス内に強く漂う。
 会社の裏窓に数匹の羽虫が止まっている。いつも雪虫が飛び交う少し前の時期に姿を現わす虫、と気づいてぞっとする。雪は、もうそう遠くないということか。
 帰宅後、ジョー・ゴアズの『路上の事件』に取り組む。凄みのあるロード・ノベルだ。1931年生まれの私立探偵上がりの作家による自伝的小説。自伝に近いとしたら、当時のアメリカ南西部は何とも恐ろしいところだ。主人公の旅人は、メキシコ国境を渡って荒っぽい酒場で荒くれ兵士を相手取っては、エルパソに戻ってくる。割れる酒場のガラス。怒号の中で飛び交う拳の打ち合う音。
 雪が降りそうな街で、熱砂の物語に取り組んでいるというわけだ。
 ……素晴らしい!
 そうそう。家では夜になると数日前から火を入れている。まだか細い火だが、それでもこの寒さには必要なものだ。初めてストーブに火を入れたときのいやな匂いはもう消えたが、それでも灯油ボイラーのある洗面室に近づくと、はっきりとわかる灯油の匂いが鼻腔に纏わりついてくる。これも、夏がすっかり終わって雪が来る前の、独特な匂いである。


 路上の事件 (扶桑社ミステリー)