嵐の海へ
今夜の小樽発舞鶴行きも平常運行するのだと、新日本海フェリーの受付嬢は私に告げる。台風が日本海を明確に北海道目指して近づいているからと言ってキャンセルなんてしない方がいいのだそうだ。そう簡単に船は欠航なんてしない、と電話の向うの女性は言い切る。欠航というのはよほどのことだそうだ。但し、と彼女は付け加える。揺れますけどね。
じゃ、わかった、便を切り替えたりせずに、大船に乗ったつもりで(とは言わなかったけれど)明日の朝、小樽に行きますわ! 少しくらいは新潟に着くのが遅れるかもしれませんけれどね、と女性は言う。でも、着くのならいい。これだけ出航を匂わせてくれるなら、それでいい。
というわけで明朝小樽から出航の予定。ウサギはどんどんこちらに近づいている。いつも夕方を迎える渡島近海のあたりで、台風としっかり擦れ違いそうだ。こうなったら、船の強さを見てやろうじゃないの。ジャック・ヒギンズの数々の海洋冒険小説を思い出しながら、そう考えた私であった。