シュンの日記なページ

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同期しない心

 窓に叩きつけるような雨が夜通し続く。

 心がまだ現在の時間に追いついてこない。だから、宮城の三日間のことばかり、いろいろと思い出しているのだが、村の人たちがそれぞれ個性的に一つの家族の問題に関わってくる様子、そこにいた老若男女の人々の表情というものが一番よく思い出される。「DRコトー診療所」の村人の描写がわかる気がする。顔見知りだけで成り立ったそれは、一つの村という名の宇宙であったような気がする。

 毎食のように、ご飯と汁と漬物だけが出された。まさに一汁一菜。血圧対策というばかりではなく、あまり漬物に箸をつける習慣のない私は、仕方なく味噌汁の具だけで白米を掻き込んでいたが、山ほどの漬物が、米どころ宮城ではあっという間にみんなの口の中に消えていった。これじゃあ、循環器系の病気が増えても仕方ないと思われる食文化だ。

 犬に咬まれたことも思い出した。三日四日散歩に連れ出していない雑種の犬を、朝方田んぼの方に連れ出してやったが、小舎に帰すときに、怒り始めた。首輪が抜けたので、これをもう一度はめなおそうとしたときだ、二度にわたって咬まれた。左手の二本の指からけっこうな出血までした。犬に咬まれることなんてないと、無闇に自分の犬好きを信じていたのだが、苛立った犬、飼い主を失った犬はまるで狂犬だ。

 ずっとバンドエイドをしたまま葬儀を過ごしたけれど、ずきずきとそれは存在を訴えるかのように痛み続けていた。

 息子は蝉の綺麗な抜け殻を拾ってきたのだが、宮城の着替え部屋に忘れてきてしまったようだし、そのこと自体にもまだ気づいている節がない。なにしろ慌しくめまぐるしかった。いろいろなことが思い出され、忘れられている気がして、気が気ではない。精神が普通ではないのだ。

 雨の中、ゴルフの月例会にだけは何とか出かけた。島牧にある札幌エルムカントリークラブへ。スタートが昼からだったから、雨がちょうど上がって、ひんやりした緑の中の空気は、とても気持ちが良かった。

 ハンディをたんまりもらっているうちにいつか、と狙っていた優勝が、こんなときに転がり込んできた。懸命にゴルフを練習して望んだ月例会ではなく、張りつめた数日から気を抜くようにして出かけたラウンドであったことが、結果としてスコアとしては幸いしたのだろう。OBを3回も出し、バンカーに4回も入れたのに一応自己ベスト(だから推して知るべし)を出したというのは、よほどミス以外の部分でショットに安定感があったのだろう。もう少し心を清明にすることができれば、もっといいスコアを出すことができるのかもしれないな、とぼんやり考えつつ、クラブハウスの湯に浸かり、心を空白にしたのだった。