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死ぬ準備

crimewave2007-02-20

 過去のものばかり整理にかかっていると死ぬ準備をしているのではないか、という不吉な思いにとらわれることがある。だからこんなタイトルで本来日記をつけるべきではないという良識が第一に働く。でもそれではいけないのだと思い、今、自分が毎夜、山の記録を整理しているのは、自分の生きる時間をより大事に整えて、襟を正しているのだと、思い聞かせるようにしている。

 今日もそうやって<山と他のページ>を更新する。特に山で亡くなった恩師ともいうべき先輩KYさんの追悼号に載せた手向けの言葉、詩などを、デジタルに置き換える作業の半ばで手が止まり、あの美しかった穂高の峰々に雪が無数にきらめくシーンを思い、そのときのKYさんを思い、ぽろりと涙がこぼれる瞬間に行き当たる。

 そんな瞬間はすぐに通り過ぎて、ぼくは現在という時間にすぐに舞い戻るのだけれど、でもああした真実の瞬間がぼくを生かし、日々を形作るための何かであることは間違いないように思えるのだ。

 山の旅を振り返ることは、ぼくのなかに何か特別な感情を再燃させることである。こことは違う場所、今とは違う時間を甦らせる作業である。

 ぼくは山の記録を整理し、WIKIを使って、書き溜めたブックレビューを整えている。それは、これまで雑然と取り散らかしたままにしておいた自分の人生を、いつでも引き出しやすいようにと整理する作業に過ぎない。だから、それは死ぬ準備をしているのではない、と自分に言い聞かせる。死ぬ準備ではなく、新たな雑然を周囲に作り出すための、過去の整理なのだと。それは、現在という日々にかつての雑然が存在しなくなっているからだ。

 俺たちは清らかな光の発見に志す身ではないのか、……季節の上に死滅する人々からは遠く離れて。
                       (ジャン・アルチュール・ランボオ『地獄の季節』より)