シュンの日記なページ

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美しく青きビーコン

crimewave2007-02-14

 昨夜、一緒に呑んだ同行者が、一度航空機のタッチ・アンド・ゴーを経験したという。着陸に失敗したとみるや急上昇するジェット機に乗り合わせていたという体験談を聞くと、女性客が泣き出したこと、再度の滑走路への進入が緊迫に満ちていたこと、無事着陸したときには拍手が沸いたことなど、生々しい生と死を分けるような一瞬の恐怖がいかなるものであったか、想像に難くなかった。

 「日本航空より札幌行きご搭乗のお客様に申し上げます。***便は、条件付出発となります。到着地の新千歳空港、大雪のため、羽田空港に引き返す可能性があります」

 というアナウンスが流れたのは、秋田空港スカイラウンジ、同行者ともどもおみやげのなまはげクッキー比内鶏の卵(←お菓子です)、比内地鶏カレー、きりたんぽ焼き味噌ダレつき、等々を買い込み、無料のドリンクを黙々と味わっていた夕刻のこと。

 飛行機は飛んだが、予告どおり、千歳は大雪。2本の滑走路の1本のみ除雪し使用可能にしているが、上空で20分ほど待機させられる。

 「これまで開いておりましたA滑走路がただいま閉鎖され、除雪が終了しましたB滑走路がぎりぎり着陸が可能な状況となりましたので、一度進入します」との機長アナウンスが機内に流れ、緊張が走る。「ただし着陸が不可能と判断された場合、A滑走路の除雪には一時間ほどかかります。当機は待機するだけの燃料がありませんので、着陸できない場合には、どこか他の空港へ着陸することを予めご了解ください」

 その「ぎりぎり」という言葉がいけないのだと思う。前夜に聞いたタッチ・アンド・ゴーの可能性に思いは至ったわけで、ああ、あんな話を聞かなければ良かったと思う。

 実際には飛行機は無事着陸し、しかし搭乗ゲートまでは深い積雪をタキシングしてゆくため、実にゆっくりと進む。その中で横殴りの風雪の向うに青く光るビーコンの列が、青い闇の中で何と美しかったことか。滑走路に進入する直前のブルーの窓ガラスの光景は、もしかしたら一生忘れることがないかもしれない、というくらいに緊張が走った。

 そんな中でも一応、花村萬月『自由に至る旅 ――オートバイの魅力・野宿の愉しみ』を読了はしたのだ。緊迫のジェット機内で、緊迫のオートバイ・エッセイを、バイクの免許を持たぬ身で読んだ、こんなことの方も、もしかしたら忘れ難いか。