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長谷川きよし、復活のスパニッシュ・ギター

crimewave2007-02-02

 NHKフォークの達人』で遂に長谷川きよしのライブ映像が流れたのだが、これは私的には相当の大ニュースである。しかもゲストに椎名林檎を招いての競演もあり。パーカッションの仙道さおり、フルートのMAKIと組んだミュージシャンも本モノ志向で、素晴らしいパフォーマンスだった。

 最初に彼のライブを見たのは、浪人時代、入学前の偵察に行った某大学祭だった。その大学を受験して入学、結局そこを卒業することになったのも彼のライブがきっかけ、と言っても過言ではないかもしれない。

 次に見たのは長谷川きよしサンバ・コンサート。これは名を名乗らぬ人からチケットが贈られてきて、独りで渋谷だったかに観に出かけたもの。誰が贈ってくれたものなのか一生わからないと思うが、安いものではなかったはず。そしてぼくが彼のギターの大ファンであることを知っている人でなければならないはず。

 最後に見たのは、南越谷での独演ライブだった。客層が地元の買い物客に毛が生えたような庶民の街で、それらしき選曲だったが、ぼくは新婚の妻を連れてこれを観に出かけたのだった。

 そんな長谷川きよしのベスト版などはLPでしか持っていないのだが、特に加藤登紀子とのライブ・アルバムが好きだったから、彼の曲をよくギターで真似しては(コピーは技術的に無理があるため、自分なりにアレンジ)、歌ったものだった。今日のライブでは『ビアーナへ行こう』『港町』なんて、聴くまで何十年も思い出すことさえなかった歌が少し感動だった。一緒に口ずさんでみると、自分が歌詞のほとんどを今もすらすらと歌えること、それほど覚えているのだということに、われながら驚く。それだけ歌詞が心に入ってくる歌が、多いのである。

 椎名林檎との『灰色の瞳』には驚いた。林檎節を消して低めのキーで合わせる彼女のヴォーカルがたまらなくよかったし、楽曲自体がとても新鮮で、古臭さがないことに驚かされる。長谷川きよしがもともとエキゾチズムを前面に出したソング・コレクターであることを改めて認識する。

 トピックとしては『死んだ男の残したものは』を歌ったこと。この曲は森山良子ボーカルというイメージが強いのだが、谷川俊太郎の作詩であることも、武満徹の作曲であることも知らなかった。

死んだ子供の残したものは
ねじれた足とかわいた涙
他には何も残さなかった
思い出一つ残さなかった

 悲惨な戦場を歌ったものだと思うが、上の一節では、つい涙が溢れてしまった。散々自分も歌ってきたのだが、長谷川きよしの声とギターに乗った歌詞が、自分の中で思い切り響いてしまったのだと思う。