シュンの日記なページ

当別町スウェーデンヒルズ移住者 ブックレビュー 悪性リンパ腫闘病中 当別オジサンバンドOJB&DUOユニットRIOのVocal&Guitarist ツアーコンダクター 写真 スキー 山 田舎暮らし 薪ストーブ

清算

crimewave2007-01-18

 一日を会社のPCの前で過ごす。稟議書、報告書、データ分析、出張精算。ところで「精算」は「清算」とどう違うのだろうか、とここで疑問。ネット辞書を紐解くと、運賃を「精算」する。取引関係を「清算」する。要するに細かく計算するのが「精算」で、計算してすっぱり終わらせることを「清算」というらしい。だから男女の関係は「清算」なのだな。ふむふむ。

 「清算(チョンサン)」という作品が森詠にあった。「青龍、哭く」と「清算」はともに「横浜狼犬」のシリーズなのだが、とてもよく似た作品なので、同じ作者のものでなければ盗作だといいたくなるくらいだったのを覚えている。一頃森詠に夢中になって、未だに書棚の一列を見事に森詠が占めているのだが、元ジャーナリストの肩書きが唸るような国際冒険小説の走りに活躍した作家だった。その後、架空戦記を書き始めたので、ぼくは見放したのだが、スペイン内乱に材を取った「夏の狩人」や、英国航空冒険小説を髣髴とさせる「さらばアフリカの女王」。パリ、バスクを結ぶ少年の父探しの物語「冬の翼」。そして「燃える波濤」シリーズなど、良質の冒険小説を世に次々と送り出した作家である。

 その作家も、最近はノベルズ・ライターに成り下がった。何故か納得がゆかないのだが、冒険小説の優れた作品群が商品として売れたかというとそうも思えないから、世のお父さんたちの通勤用使い捨て小説を書いて生活を潤した方が作家にとっては都合がいいのかもしれない。森詠もある意味で過去の誇りを「清算」せざるを得なかったたのだろう。まさに、文化死せる国……と言うべきか。