シュンの日記なページ

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Coccoと武道館

 Coccoの武道館ライブをBSでやるというので、ちょっと驚いた。Coccoは、どちらかと言えばぼくらの世代にとっては浅川マキとか山崎ハコみたいな暗いイメージがあって、特に山崎ハコにダブる部分は、田舎やふるさとや少女時代を題材にした歌が多いところ。それに、今にもこの歌手は死んでしまうのではないか、と思わせる弱さの部分だった。

 学生時代、ガール・フレンドの一人が、この山崎ハコの大ファンで、いつも明るい笑顔を振りまいている女性なのに、アパートで紅茶を飲みながら、ラジカセから流れるハコの歌に一緒に耳を傾けていると、どこか居心地が悪くて仕方がなくなってきたのを覚えている。でも当時の女性たちにはけっこう受けていたのがこの山崎ハコであり、ぼくはカセットテープごとダビングしたものを頂いて帰ると、家で独りこれを聴く。そうすると、ぼくの貧乏学生暮らしは、ますます暗いものとなってしまうのだった。

 Coccoは、顔立ちさえハコの面影がどこか残って見えるような女性シンガーだが、確か自閉症かなにかで何年か音楽活動から身を引いていたのだと思う。怖い歌を沢山書く不健康そうな歌手だが、その音楽センスは年齢の割りに素晴らしいものがあって、その天然の声の魅力ともども、ぼくの中では、かなり気に入っている和製ポップ・アーチストの一人だ。

 今、長い休息の後、彼女は音楽の世界に戻ってきて、そしてひさびさに見せた映像が、驚きの武道館なのである。正直言って、小さなスタジオ・ライブとか、昔で言えばアングラ劇場みたいな芝居小屋あたりでのライブこそがこの人には似合うと勝手に思い込んでいただけに、意外に元気な姿で、ハードロックに近い歌を次々とこなしてゆくCoccoの姿には、病的なものと健康的なものの間を、自由に行き来できる青春の揺らぎのようなものを、ぼくはひそかに感じるのだった。復活おめでとう、と素直にぼくは言いたい。