名前負けの台風

　全国を荒らしまわった台風が札幌に上陸して、旭川を通り、オホーツクまで抜けた……らしい。宮崎では竜巻まで巻き起こし、死者を出し、家を壊し、列車を転覆させてきた台風は、とても恐ろしいに違いないのに、何だか札幌では、あんまり目立たなかった。

　朝、東雁来のほうに走ると、上空に青空。石狩湾に黒雲。未明に台風が抜け出し、道央道に沿って北東に進路を刻んでいるはずだ。台風の渦巻きの端っこの雲が石狩湾に引っかかっているんだろうな、くらいの気持ちで走る。

　仕事で岩見沢に向かうと、風雨になっている。朝8時頃には晴れていたのが、いきなり雨になって空は暗く重くなっていったらしい。台風はもう旭川以北にあるのに。

　帰りの道央道は快適だった。フェーン現象というにはやはり少し寂しい熱気が、秋めいて、札幌の土を暖めている。22度。これでフェーン現象といってはやはり生意気だよな。

　というわけで夕方にはすっかり穏やかになった札幌。というよりも、真上を台風が通過した（らしい）割には、けっこう一日穏やかだった札幌だった。おかしいな。うきうきして珍しく札幌に向かってくる台風を、それなりに楽しみしていたのに。