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『このミス』最後の(?)投票

 FADVの代表としてこれまで10年以上、年末の『このミステリーがすごい!』(宝島社刊)アンケートに答えてきたけれど、FADVが今年でなくなる以上、『このミス』投票も最後になるのだろう。

 11月以降翌年の10月末の間で年間のベスト・ミステリーを海外と国内とそれぞれ6作ずつ選んで、コメントを寄せるというのが、このミスアンケート回答者の作業なんだけれど、作業そのものに時間はかからないまでも、作品を選んで活字として表明するという立場は、一年間の読書にある種の読書傾向を余儀なくさせることになる。まず最低でも6作の新刊は読まねばならない。6作を選ぶということが『このミス』できちんと掲載されるための最低の条件であるからだ。

 しかし出版社は印象にアンケート回答者の残すためにだろう、9月くらいに照準を絞って売れっ子作家をどんどん出版するようになった。そこで『このミス』の得点を稼ぎ出し、ベスト5位以内にでも入れば、堂々本の腰巻に「このミス何位!」と宣伝することができるからだ。圧倒的に分が悪いのは、『このミス』締め切り後の11月に出版された作品。回答者の頭のなかで一年も前の作品がどれだけ印象に残るだろうか? だからこの時期に出してくる本に、ぼくは自信のほどを感じることも逆にある。

 今は回答締め切りまでほぼ一ヶ月ちょい、というところなので、各社新刊ラッシュに余念がない。今年は、海外ものではドラモンド『あなたに不利な証拠として』、コナリー『天使と罪の街』、ブレイク『荒ぶる血』、トンプスン『失われた男』などが濃厚ではないだろうか。未読ではロブ・ライアン、トマス・H・クック、グレッグ・アイルズ、カーリン・アルヴテーゲンなど新作が押せ押せ。個人的に一押しのリック・リオーダンなどは今年も誰の目にも止まらないのか、そう考えるとますますぼくは、陽の当たらない作家に投票したくなる。

 国内では、誉田哲也佐々木譲馳星周香納諒一といったところにぼくは投票しそう。偏っているとは自覚しているのだけれど、もちろん。その偏りの集合体が『このミス』の結果であるのだ。

 一人や二人の回答者が入れ替わったところで、どうってことはないのだろう、きっと。