ミリオンダラー・ベイビー
誰もいない休日、独りでリビングの窓を全開にして、北海道の夏の風を受けつつ、油断してこれを見ていた。とても気持ちよく見ていた。しかし映画の中に気持ちがどんどん入ってしまい、最後には思いもかけぬ展開になったために気持ちが深く抉られてしまう感覚を味わった。独りだったせいか、予測していたことなのに現実に口にされてしまったヒロインのセリフに、いきなり感情がもみくちゃにされて、涙が溢れ出てしまった。しばらく涙が止まらなかったので、これは劇場でなくってよかったと思ってしまった。劇場で号泣した覚えのある映画は『南極物語』『砂の器』『泥の河』『スケアクロー』『クリスマス・ツリー』『二人の天使』だ(だんだん古くなってゆくなあ)。
こういう目に合ってみると、映画のパワーというのが凄まじいものと感じる。しばらくの間、瞼が腫れてしまい、家人が帰ってくるまでに元に戻るかどうか心配でならなかった。困るんですよ、本当に、こういうのは。