ホット・ランチ

　クールな夏のおかげで野菜が高いと聞いていたが、三日前から関東はまともな夏に突入したのだそうで、なるほどエアコンの効かないパジェロで埼玉の県南部を走るのは無謀だ。１０年前に職場が一緒だった女性を呼び出して、おまけに冷房の効く車まで出してもらう。パジェロと入れ替える祭にご母堂との挨拶まで交わす。一体、俺は何者か？　と自問しながら。

　ともあれ大宮駅ビルのイタ飯屋にてランチを食べる。お互いの知人の近況を話の種に、タバスコで真っ赤にしたピザ、ただでさえ赤いのにさらに辛くしたペンネを突き、最後にいろいろな種類のシャーベットを突つく。紫色の酸味のシャーベットが何だろうというので、ハスカップじゃないか、と言ったのだが、北海道人以外にはハスカップって言葉が通じないのかな、何を言ったのかわからないような顔をしてクビを傾げていた。まあ、さいたま市にやってきた、って印象が一段と強まった。