『ブレーキ・ダウン』
日本語吹替の地上波TV映画は基本的に見ないのだが、ついつい引き込まれて、全部見てしまった。アメリカ西部の田舎を舞台にしたバイオレンスに共通のある匂いがする映画だった。
例えば『ヒッチャー』『激突』『Uターン』。ノワールではなく、ホラーでもなく、単純にサスペンスフルな巻き込まれ話で、振り返れば、最愛の妻を救う騎士というシンプル極まりないストーリーなのだが、アメリカの田舎という、法の届かない場所の危険さにどこかリアリティが感じられ、だからこそバイオレンスがホンモノのように感じられる。簡単に銃を向けられるシーンは、ちと怖い。
惜しむらくは子供っぽいアクション剥き出しの撮影が全体のリアルな雰囲気をぶち壊しにしていることか。あんなにいろいろなものに主人公をぶら下げず、アクションを抑制したら、もっともっといい空気が張りつめて、B級映画という枠から軽く脱出できていたような気がするのだけれど。