同情
札幌駅ツインクルプラザ内にチケットぴあを見つけるのがまず大変だった。
次に、ナビスコカップ準々決勝の優先引換券とともに、チケットの申込書を渡した途端、店長と名札を付けた人がいきなりパニクった。札幌駅で、浦和レッズと川崎フロンターレの試合のチケットを、しかも優先引き換え券で特別購入しようという人は、きっと限りなくゼロに近いんだろう。
店長は何度も受話器を取り上げるが、ぴあの本体へはなかなか繋がらない様子。パソコンのキーボードを打ってみては首を傾げ、店長だから誰か女性陣に相談するわけにも行かないらしく、何度も何度も電話をかけたり、何度も何度もマニュアルみたいなものをひっくり返したり、何度も何度もキーボードを叩いたりしているばかりなので、ぼくは少々同情した気持ちになって、向かいのベンチに腰をかけ、他の人がバスケットボールの試合チケットなどを順調に買っている様子を、じっと見ていた。
レッズの試合のチケットが、札幌では、とてもイレギュラーで買い求めにくいという事実を今さらながら強く認識しながら、店長の焦りの表情を、ぼくはいつまでも同情を込めて見つめ続けるのだった。