伸二の開幕戦
伸二の開幕戦と言いたい見事な中距離弾、しかも伸二でなければ決めることのできそうもない難しい角度のボレーだった。でも伸二は、この試合で開幕したわけではない。昨年フェイエノールトでも怪我でほとんど実戦に出られず、治療とリハビリに時を食い潰されていた。代表の方にいち早くカムバックして、それから浦和レッズ。レッズでの伸二の馴染み具合は、開幕戦から三試合、まだまだ、しかし、徐々に、といった雰囲気だった。そして4節目にしてようやく生まれたゴール。
今日はこのゴールの前にもいくつものパスが出たし、何よりも積極的であった。むしろスペースに反応しない選手が多くパスが無駄になったり、各選手のスタートが遅いせいで少しだけパスがずれたりして徒労に終わるなど、伸二の苦々しい表情が目立った。
伸二の復調ぶりに選手たちが着いて行けていないのだ。中二日という体調管理には厳しい日程もあったか、山田のチャレンジはほとんど見られず、三都州も序盤こそ積極的だったが、前節に比べると動きの面で見劣りした。むしろ前節の最後に失点を食らったことで、全体に守備的意識が強まり、攻撃でのリスク・チャレンジが欠如している風に見えた。
ポンテ、啓太、なによりも闘莉王の攻撃的な試みが幾度も目立っていた。そして今日の主役はワシントンだろう。徐々にフィットしつつある彼の力量が少しずつ見えてくる気がする。自身もゴールを決めたが、決定力がぴか一である。また、数々のポストプレイ。その一つが、闘莉王のゴールを呼び込む。ディフェンスの網を、機関車のように切り裂いて、ボールをゴール方向に運んでゆく迫力はただものではない。まだまだ本調子ではないように見受ける。フルスロットルで彼が機能し、周囲との連携ももっともっと巧くいったら、レッズはきっととんでもなく強いチームになり得るだろう。
