29年の奇跡
奇跡というには大袈裟だけれど、こんな偶然があった。
ぼくはi-Podをカーオーディオに繋いで車通勤している。設定は"song shuffle"で、900曲ほど入っているお気に入りのアルバムをランダムに再生するようにしているのだ。
今日は帰宅する途中、カルメン・マキ、Tom Petty & Heartbreakers、に続いて、Eric Claptonのグラミー・アルバムである"Unpragged"から"Nobody Knows You When You're Down and Out"が、かかった。自分でもコピーしている持ち歌だし、それだけなら何ということもないのだが、その直後に続いたのが、あの「いとしのレイラ」収蔵の同曲だったのだ。
もちろん1999年のTVライブに続き、Derec and Dominos という怪しげなバンド名で、かのスライド・ギタリスト、デュアン・オールマンと組んだ1970年のアルバムから、同じ曲がかかる偶然に驚いた。まずクラプトンのヴォーカルが29年の年月の流れを感じさせる。
そしてアコスティックの近年と、エレキでバリバリだった、Cremeを卒業したての若きクラプトン。そうした距離感も凄いが、同じブルース曲を、全く違ったアレンジで続けて聴くことはなかったから、何と言うか、雪の残る札幌の春の宵、不思議な時空を行ったり来たりしている自分の29年の人生の流れさえもが、メロディラインの変化の上でくねっている感覚に捉われる。
i-Podという現代のジュークボックスが、時代を繋いだまさに奇跡の瞬間であった(ほんとうに大袈裟かもしれないけれど)。