シュンの日記なページ

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怪奇派

 ニール・ヤングの"Heart of Gold"という懐かしきヒット曲のタイトルそのままに、あのジョナサン・デミが映画化し、アメリカで上映されるらしい。アコスティック・ライブ・ツアーのようなのだが、アメリカでぼくが一番好きな女性シンガー、エミルー・ハリスも共演しているみたい。お馴染みのスライド・ギタリスト、ベン・キース(もちろんこの人なくしては"Heart of Gold"はあり得ないだろう)、チャド・クロムウェルなど、NHKホールで何年も前に見たライブ・メンバーが揃っているみたいだ。

 それはそうと何故ジョナサン・デミなんだろう。以前の"Years of Horse"はニールとクレイジー・ホースの軌跡を追ったフィルムで、こちらはあのカルト映画の元祖、ジム・ジャームッシュだった。

 ジョナサン・デミと言えば『羊たちの沈黙』、ジャームッシュといえばやはりニール・ヤングが全編音楽を担当したジョニー・デップ主演映画『デッドマン』に尽きる。どちらも不気味な映画であることには変わりない。ちなみに、家内にニールの映画のことを告げると、怪奇派映画だね、と一言で切り捨てられた。ニール・ヤングは確かに顔は怪奇派かもしれない。しかし、歌声は未だに少年の可愛いさを持っているだぞ、ぼくみたいに(^^;)……と、無理矢理抗弁してしまう。もちろん口には出さずにだけど(^^;)。

 さて、ぼくの好きなミュージシャンは、実はこれまでもけっこう良い映画監督に恵まれているみたいだ。かのザ・バンドは、マーティン・スコセッシにより『ラスト・ワルツ』というロック史、いやアメリカ史に残るような名画を残したし、そこではオーストラリアで自殺したというリチャード・マニュアルや、薬びたりで日本入国を拒否されたというリック・ダンコの若かりし(?)姿が何ともいえぬ味わい深いデカダンな雰囲気の中で湛えていたもんだ。

 ピンク・フロイドの『ザ・ウォール』は、英国でぼくが最も好きな監督アラン・パーカーによって撮られた。どこを切ってもフロイドだし、どこを切ってもアラン・パーカーで、ものすごく不気味な映画だった(ロジャー・ウォーターズって真面目だよね)。

 ぼくの好きなアーティストたちは、何故か大物監督に狙われてきたのだ。映画化するだけの背後のストーリーや強固な個性、といったものを備えているアーティストだったからか。

 簡単に曲をヒットさせることもできるのに、マーケットシーンをぐんぐん歩むのではなく、どこか型破りなくらいの頑固さを備えて、フリークなファンを作り出すミュージシャンばかりだった。ただの巧い音楽家では誰も映画に撮ろうなんて思わないに違いない。そういう人はコンサートに音楽だけを聴きにゆくか、ダンスが巧いのなら、ダンスを見てうっとりすればいいのであって、映画化する必要などはどこにもないのだ、きっと。

 それにしても怪奇派とは! 一瞬納得してしまった自分は、ニール・ヤングという踏み絵をあやうく踏みそうになった隠れユダだったのかもしれない。ううむ。