シュンの日記なページ

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山道具屋にて

 昔は登山道具屋には、しばしば通ったものだった。日常的に消耗する登山靴の靴紐、カラビナ、ハーケン、シュリンゲ、キャンドル、メタなどを買い漁りに、そして時には新しいウェアや、シャルレのアイスバイル、シモンのピッケルなどを憧れの眼差しで眺めるために。

 金を得てそうしたブランドを変える頃には、体重が増え、氷瀑や雪壁を登れない年齢になってしまった。山は、とにかく矛盾に満ちていた。

 秀岳荘には、約束に少し時間が空いてしまったため、部下と二人でぶらりと立ち寄ったのだが、昔の山道具屋の香りに思わず心がうずくのを感じた。

 ウィンターウェアの値引きキャンペーンをやっていたので、懐かしいノースフェイスやモンベルのパーカーをさわっては、その値段に顔をしかめた。30%引きなのに、ゴアテックス製の、機能美に裏打ちされたそれらの魅力的なウェアは到底手に届かぬ値段であった。

 手袋を見て、帽子を見て、靴を見た。そういえば、この日履いている靴がこの店で9年くらい前に買った靴だ。登山靴と同形のビブラム底。手作りの縫製によってかがられた堅く重たい皮のタウンシューズだ。もうそろそろ次の靴を仕入れる頃かもしれない。こんな店で靴を買うのが部下には珍しいようだった。

 ぼくは二十代の頃から、いつもスポーツ洋品店や山道具屋で靴を買っている。登山靴の歩きやすさがわかっているからでもあるが、それ以上に履き心地が青春時代にすっかり見に染みついているからなのかもしれない。

 柄にもなく登攀具のコーナーも眺めてみた。進化したアイゼンがあり、進化して今では屈曲したバイルが並んでいた。変わらぬ形のカラビナやハーケンがあり、北海道らしく、多種多様で実に洒落たデザインのスノーシューのコーナーがきらびやかであった。とても、とても、眩いほどに。