シュンの日記なページ

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『たびを』……走破中

 花村萬月の青春バイクツーリング小説『たびを』に取り掛かっている。何せ2段組1000ページの超重量ハードカバーのため、持ち歩いて読むことができそうもない。正月休みを使って読むんだ、とは入手したときから決めていた。

 内容は19歳青年が50ccスーパーカブで日本一周に望むという、まさに萬月の原点みたいな小説。都下に住む主人公が神奈川・静岡方面に向かい、紀伊半島から、四国、九州とフェリーで渡り、九州を一周して、山陰を北上、京都で寄り道してから、能登を越え、現在、ひたすら北上中、山形から秋田に入り、阿仁の里を過ぎる頃合。ここまででおよそ500ページ超。

 外は吹雪いて大荒れの札幌北区。どこにも出かける気が起きない悪天の中で、初夏の旅を小説を通して体感できるスーパーリアリズム小説。それでいてあまりにもデリケートな19歳を包む、繊細で、人との出会いに満ち溢れた発見の旅。花村萬月が「観光客」ではなく「旅人」に捧げた、気持ちよくページを繰ることのできる作品だ。何でも執筆9年の大作なのだそうだ。

 バイク旅行はしたことがないけれど、貧乏旅行、野宿、など共通項の多い自分の志向にぴったりフィットしていて、50ccなみの遅読ながら、何とか明日は北海道上陸を成し遂げたい。

 読書中、とても幸せである。少なくともそう思わせる小説なんである。ぼくには。