シュンの日記なページ

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32年

 32年間の商売に幕を閉じ、一軒の店が今日で閉店した。四人のおばちゃんでやってきた流通倉庫街の組合ビル一階にある食堂。近所の会社の社員食堂のように使われ、陸送、宅配のドライバー、倉庫勤務者、管理職のネクタイ族、事務服をまとった女子社員、そうした客層がほとんどだった。

 うちの会社は会議弁当の代わりにここで出前を取っていた。事務の女の子がたまに出前を取るときラーメンを一杯からでも配達してくれた。ラーメン500円。定食は650円だがボリューム満点のパワーランチだった。

 四人のおばさんが年を取り、うち一人が体を壊した。四人でなければやっていけないとの決断。今日、その店が32年の歴史に幕を閉じた。「長い間有難うございました」とレジで会計のたびに告げるおばちゃんの目が潤んでいた。彼女の32年前の姿を想像できないことはない。

 32年前は、1973年。自分はまだ高校に通っていたガキである。その後、社会に出、関東を出て、札幌に移り住み、ここ連日そうであるような大雪を何度も経験し、転職し、そしてやっと馴染んできたこの食堂での定食の味に別れを告げようとしている。ある印象的な時と場所に、居合わせているのだった。