シュンの日記なページ

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四角い王国

 浦和 対 川崎 3-2

 家本という審判を見ていると、釣り上がった陰険な目つき、高慢ちきな笑みを浮かべた口元、ちんぴらのように真上に跳ね上げた髪型、どれをとっても軽薄な悪役に見える。もちろんこちら側の先入観もあるだろう。だが、彼の示すものは、TVカメラに放射された四角いピッチでまるで主役のようにしか振舞えない権力者としての存在感だけだ。

 審判というものが求められるものは、試合のバイプレイヤー、規範の王、動くルールブックであるはずなのに、彼がやらかすのは、怒りの表現、主張の表明であるばかりか、パスコースを消したり、主観による判断をカードという形で選手たちに突きつける審判の奢りである。

 最初からこの主審のときには気をつけなくていけないのだ。日本の審判のほとんどが程度が低いから(もちろん海外にだって危険な審判はいるけれど含有率という意味では日本は非常にハイレベルにある、残念なことに)、選手たちはまず審判の特徴に合わせたゲームプランを立てねばならないのだ。悲劇的なことだが事実だ。少なくとも鹿島や、横浜マリノスなど歴戦の猛者であるチームはこのあたりの利用の仕方が巧く、浦和レッズはとても下手だったと思う。

 ところが最近のレッズは、そいつを巧く利用できるようになってきた。もちろん、闘莉王マリッチみたいに激怒が並じゃない選手もいる。達也や長谷部が倒されてシミュレーションを取られるという理不尽もある。どう見てもPKなのに認められないことなど山ほどある。幻のゴールも、幻のオフサイドも、何度悔しさというフィルターの向うに泣く泣く認めなければならなかったことか。

 それでもレッズは、どちらに転んでも審判が目立つだけという、この日のようなゲームをきちんと勝って終えることができるようになってきた。おとなのサッカー、と新聞に書かれるようになったレッズ。別の意味でスリリング極まりないゲーム。平均二試合に一人は退場者を出す審判を前にして、とことん勝ちにこだわったレッズ。敵は川崎ではなく、家本だった。家本という王が君臨する、四角い王国がこのピッチなのだった。それが如実に感じられるくらい、川崎の出来は素晴らしかった。川崎が相手ではなく家本が相手だったのだ、両チームにとって。

 Jリーグがこういう審判を使っている限り、サッカー対ミスジャッジという奇妙な公式は、当分続きそうだ。日本サッカーにとってとても不幸なことなのだけど。