シュンの日記なページ

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ずっと憂鬱な復路

 アルコールの影響は避けられない。夜中まで呑んで、その後ホテルに帰って、シャワーを浴びて、本を開いたまま、途中で眠った。朝、頭の中で、別の宇宙が回転しているみたいな気分で、すぐに仕事に出る。
 その前に朝飯にありつきたい。吉野家松屋なか卯も街中に見当たらないから、和定食を楽しめないなと思い、函館駅前に移動する。函館駅は見違えるほどピカピカになっていた。おしゃれになって、以前構内にあった猥雑なほどの飲食空間はなくなってしまっていた。少し朝市をうろついてみたが、イカ刺し定食1000円以上なんてコストを許容できない。
 結局、食べたのは、青い海原の先に函館山立待岬を見渡すコンビニの駐車場で、鮭の握り飯だ。まあ、こんなものか。
 仕事を昼に終えると、ひどい下痢の兆候。入った先は海べりの駐車場公衆トイレだが、ペーパーがないので、隣接する土方歳三石川啄木記念館に、600円の入場料を払って飛び込む。
 土方のヒストリーを上映する合間にぼくはトイレでひとしきり苦しんだ。
 こうなったらきっちり見てやろうと、土方歳三ゆかりの鉄砲や、愛刀「兼定」などをじっくり見て回る。その後石川啄木記念館に。
 若い清楚な感じの受付嬢が、上映しましょうか? とたずねるので、お願いすることにする。上に行くと上映場所は80人ほど入れそうな部屋。ぼくが座ると、先ほどの受付嬢がセットをしに来て、ドアまで閉めてくれる。次に彼女が姿を消したかと思うと「ただいまより映画を上映いたします」とマイクでアナウンス。ああ、おれ一人のためにこんなに……と、思うと浜辺で蟹と戯れながら泣き濡れたくなった。すぐ窓の下に啄木が遊んだ砂浜がとことん湯の河温泉の方まで広がっている。
 ロボットの啄木が口を動かし体を動かしながら、プロローグをやって、その後映画。それなりに真面目に見たのは、受付嬢への自分なりの誠意。
 上映が終わって、窓のカーテンや天窓の蓋が自動的に巻き上げられたので、扉を開こうとすると、ちょうど受付嬢が駆けつけてきたところだった。ああ、申し訳ない。おれ一人のためにこんなに電気代を使わせてしまって。
 そう思いながら函館を後にする。
 七飯は函館の出口みたいなところだ。蕎麦を啜りながら紅葉を眺め、ぐったりする。アルコールのダメージは依然として大きい。
 息子に約束した大沼団子を買いに、東に迂回し、蝦夷駒ヶ岳の裾野をめぐる。砂原の道の駅でついに限界。仮眠を取る。
 携帯が鳴って叩き起こされたところで北上を再開。長万部から岩内を目指し、夕暮れの日本海をひたすら東へ。札幌帰着が19:30。何とかゴルフレッスンの時刻に間に合った。アルコールはほぼ抜けたけれど、精神的な緊張感を取りたかったので、ゴルフクラブを振れるというのは、何とも助かるのだ。