ゴルフか、焼き鳥か

　週末の金曜日。ぼくは二週間休みなしで働いてきたところなので、嬉しくてたまらない。解放感を求めてゴルフスクールか焼き鳥かと悩んでいたら、断然焼き鳥ですと若い女子社員が言う。まあ、あなたはそうだよなと、呟きながら、会社を出て、約１ヶ月ぶりの打ちっぱなしへ。
　慣らしのために数発打っているうちに、早々と右手の甲を痛めてしまった。衝撃を吸収しないような下手な打ち方をしたのだと自覚するが、それよりもまだ開始して１５分でこの痛みは少し困る。レッスンプロに相談したところ、左手片手打ちという練習方法もあるよと言われ、見よう見まねでやってみる。うまく行かないと思っていると、グリップが先に前に出ているので、体全体を回すなかでグリップを後から巻いてゆくように打つ、と教えてもらう。
　さてそこからが調子に乗ったのである。そのうち右手を添えても右手に力の負担がかからなくなったため、かえって前よりも、腰のためを使ったいい打ち方ができるようになる。衝撃を受けないためウッドでティーアップして練習していたが、そのうちミドル・アイアンからロング・アイアンに持ち替え、さらにティーを使わずに打てるようになり、すっかり右手の痛みを意識せずに練習ができるようになった。
　レッスンプロの上手さというのは、こういうシンプルな助言にある。コースを回る経験以上に、要求されるのは多種なケースに対して的確な助言を送るその観察力と判断力だ。ぼくは一月から同じプロに教えてもらっているが、たいていは一度に一つのアドバイスくらいしかもらわない。後はただただ、沢山数を打って反復し、体に覚えこませてくださいと言われるだけである。

　さて、こうなるとゴルフの後には、焼き鳥屋にも行きたくなる。練習を終えて22:00前。一旦家に車を置いてからタクシーで馴染みの店に向かった。22:30からだって、週末だから飲み始めることができる。この日は隣に座った若い単独女性と意気投合してしまう。なんとマックユーザーであるらしいのだ。ぼくは今やマックユーザーではないが、ホームページ作りや音楽作りはもともとマックでやっていたのである。20年の年齢差はマックの歴史においても相当の意味がある。お互いの持ち得る情報をいかに出し尽くしても、マックは今も昔もそのコンセプトにおいて変わっていないことがわかる。彼女は、会社に三人ほどいるというマックユーザザーに、マックのＳＥやクラシックという機種のことを是非聴いてみると言い、できることなら画像をホームページなどで検索してくれとぼくは薦める。マックのハード＆ソフトの命はデザインだと、彼女は最後まで語り続けたからである。
　そのマックがどうもウイルスに感染したらしい。画面一面に複数の小さな爆弾が表示されるのだそうだ。それはどうも異常である、とさすがのぼくも思う。