シュンの日記なページ

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7年目の浜ちゃん

 新琴似に浜ちゃんという大変怪しげな居酒屋があった。7年程前にはときどきそこに出かけてゆき、大変な料理を大変な価格で食べた。
 不思議なのは、狭い店からあぶれた人たちが、店の前に椅子を出して飲んでいたことだ。あやしげな常連たちだった。しかも全員ギターを引いて70年代から80年代にかけてのフォークソングを皆で歌っていたことだ。ぼくも当然こいつに加わるのだった。店主の浜ちゃん(当時26歳)も率先してギターを弾き(三台くらい置いてあるのだ)、雰囲気のある美人の奥さんが、子供を見るようなまなざしで観ていた。
 積丹半島まで朝仕入れに行くのは、浜ちゃんが漁師でもあるからで、浜辺に出かけて網上げの手伝いまでするのだ。だから尾頭付きの黒頭カレイが1500円くらいで丸々一尾食べられるし、これを頼んでしまうと、これだけで腹がいっぱいになるから料金は、酒と合わせて(すべて低価格だ)2000円てところだ。
 その浜ちゃんは、店を移転した。ずっと広い店で小上がりに席を沢山確保できる。今日はそこに7年目の浜ちゃんの変貌ぶりを楽しみに総勢7名で出かけた。
 当時秘密結婚を企んでいたFADVの某大分在住夫婦ときたのが二年前くらいだったかな? とにかく、あの古く怪しげだった頃からは7年目になる。当時スキンヘッドだった浜ちゃんは客の前に姿を現す事もなく、当時の常連の顔は一つも見えない。今日は朝イカがメインのつまみだったし、料理は美味しく、値段もやっぱり一人2000円くらいで済んだのだった。でも演歌が有線から流れ、浩々と明るい小上がりに、テーブル上の電子ベルなどがあってまるでファミレスみたいな雰囲気になってしまった浜ちゃんを、ぼくが悲しむのは当然のことだ。
 会計のときに、何人かの使用人の女の子の向こう、厨房で疲れた顔をした浜ちゃんは、もう30代なんだな、と計算上も、見た目も明らかに時間の波に洗われて見えるのだった。
 今度は独りでやってきて、きっとカウンターに座ろう。あの頃の話を、今の浜ちゃんにしかけてみよう。その後のことをいろいろと聞いてみよう。