シュンの日記なページ

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一瞬の1995年

 日中は息子の運動会、夜には結婚式の披露宴と、その後の呑み会で、すっかり帰宅が遅くなり、深夜になって、録画しておいた今日のナビ杯予選を見る。
 浦和レッズヴィッセル神戸 1−0 得点者 エメルソン
 試合内容はラストのどんでん返しまでの間、守備に終始した神戸を切り崩せない浦和という構図がずっと続き、めりはりがあまりなく地味な展開だったが、今回の中継の面白さは、倉敷キャスターと福永、そうあのヤスによる解説だった。
 レッズ在籍時代に攻撃の核であり、ウーベ・バインとの華麗なパス交換を演じたり、極めて勝負強い、点取り屋でもあった福永も、ミスター・レッズの福田正博と同じように、守備意識に重心を置いた解説をする。「高い位置で取ってシンプルに素早く攻撃をする」という、今のレッズの戦術を一言で言い表すその表現方法は、福田に共通するところがある。さすが元、福福コンビ。
 その福永が岡野の攻撃能力についてラストシーンの直前に言った言葉が印象的だった。
 「岡野には足元ではなく、前線のスペースの裏にボールを出してやったほうがいい」
 まるで先輩・福永の言葉が聞こえたかのように、直後、ヤスの正統な後継者でありパッサーである長谷部が、岡野を最大限に生かすスルーパスを通してみせた。このパスも凄いが、これを正確なクロスで得点に繋げてしまう岡野は、やはり素晴らしい。
 わずかなチャンスを加速する中で生かし、ゴール前に動く味方をかぎ分け、そこにボールを上げてしまう、その並外れた動体視力は、足の速さだけでは成り立たない岡野のサッカー・センスと野人の通り名を支えているものだと思う。
 ウーベ・バインからのパスを右足の一閃でいくつもゴール前に供給し、福田の得点王に繋げた1995年の岡野が一瞬、甦った。ギドが飛び上がって喜び、福永がしたりとばかりの解説を展開した。今のヒーローはエメであり、新聞を騒がすのもエメだけれど、そこに1995年を共有した顔がいくつも並んでいるところに、表面には現われないところ深い部分にずしりとした感動を感じてしまった。
 エメのヘッドを経由したボールがネットに吸い込まれる。信じがたい残り15秒という時間帯で。これが岡野の存在感なんだ、とさすがに言いたくなる。少し自慢げに。