シュンの日記なページ

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『鉄道員(ぽっぽや)』

 もう、ぼくにはこういう映画を見るのは辛いかもしれない。映像は綺麗だけれど、映画の持っている方向性、映画の存在理由自体が、どうも曖昧で、すっきりしないのだ。この映画はけっこうな大ヒットだったと思うけれど、所詮、浅田次郎直木賞を取ったから、というブランドイメージによって、資金が調達できたのだろうし、それなりの採算が見込める、いわゆる大衆路線だったのだと思う。すべてが計算さて尽くしたように思えて、とてもいやなのだ。
 高倉健さんはたまらなく格好いいが、それでも、いろいろなことを考えるのが面倒で、シンプルに笛を吹き、「出発進行」と叫んできただけの、考えない人生というようにも見えてしまう。見ようによっては、家族や、問題に正面から向き合わなかった、逃げの、仕事一筋人生である。昭和のお父さんたちを代表しているようでいて、果たしてそうとも言えるのかどうか。無骨さを、ぐうたらと取り違えて、それを役者の格好よさにばかり投げてしまった、責任逃れ映画のようにも思える。少なくとも、ちゃんと考えて作っていないだろう、この映画。そう思える。
 映画技術や俳優・原作の人気ばかりが先行して、間違った映画作りをするとこうなる、という見本のような映画のように思える。そんな映画であっても少し涙ぐんでしまう、そんな自分をも含めて、こういう映画は懲り懲りだと、つくづく思う。