ホワイト・クリスマス

　年内最後の大仕事に取り掛かっているのでどうしても帰宅が遅くなる。昨日のうちにクリスマス・ディナー(いい響きだ）を済ませておいてつくづく良かった。だが、帰宅してみると、妻子は風呂に入っており、用意された食卓の晩酌セットが、湯豆腐や焼きブタ(お歳暮をあけたものだ）、イカの沖漬け（これもお歳暮）、などであって果たしていいものだろうか。今宵は聖なるクリスマスであり、四軒隣にある教会では、庭のクリスマスツリーが美しく七色に点滅し、十字架はライトアップされていた上、教会の中からはミサの声がなんとなく聞こえていたのだ。それなのに、我が家のこの情緒のなさはどうだろうか。
　そんなことを思いつつ、治らず、悪化もしないで、ただただ体調を少しだけ平常より落とし続けるたちの悪い風邪のためにすぐに酔いが回ってしまう発泡酒を傾けながら、年末特別ドキュメントなぞをテレビで見ながら、豆腐をつつくぼくなのであった。あーあ。こういう時くらいは、もう少し情緒というものを求めたい。西洋人がつくづく羨ましい。