手相
とはいうものの読書にだけ時間を当てたわけではなく、数年ぶりにマッサージを呼んでスポーツニュースなどを見たりもしたのだ。そのマッサージ師だが、いきなりぼくの右手を揉んでいる手を止めて、珍しい手相ですねえと感嘆を込めて言ったのだった。少し手のひらを丸めると横一線に皺が繋がることも素晴らしいが、その上に三日月ができているのも素晴らしい。いい手相ですよと。お金を残したり幸せな人生を送ることのできる手相だと言うのだ。ぼくはそんなことは身に覚えがなく、借金こそ残しても金を残す人生など絶対に送っていないので、まあときにある例外という奴なのだろうと思うけれども、手相は見てもらったことがないのだとマッサージ師に答えた。是非見てもらってくださいという。幸せな手相であるならば、これを見ることがきっかけになって人生が好転したりすることもあるのだろうか。少し気になる一瞬なのであった。