シュンの日記なページ

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『このミス』

 『このミス』が届いていたので、これを読みながら牡蠣入りキムチ鍋を突つく。ビールも国稀鬼殺しも美味しいが、今年の『このミス』のハイライトは垣根涼介インタビューではないだろうか。作品、作風そのままにストレートでピュアな人間的大きさを感じさせるあたり、あのアキを思わせる部分がある。言葉が明晰で、よどみなく、信条を背骨に抱え込んで、わが道をゆくという感じは、まさに作家以外の何者でもない、か。
 ちなみに海外ベスト10中ぼくは3作しか読んでいないのに、ベスト11以降は10作読んでいる。やはり大衆受けしない趣味なのか。それでも『ピアニストを撃て』『セメントの女』『男の争い』『炎に消えた名画』などなどぼく一人の投票ではなく、意外にファンが多かったことにほっとした。吉野仁さんはジェイソン・スターを押していたんですねえ。ぼくもああいう理不尽だが唐突な死体の転がり方というのは好きなタッチなんだけれど、今年は迷いました、正直。とりわけミネット・ウォルタースの『蛇の形』などは自分でもランク入りさせていないけれどベスト1でも全然おかしくないと思う。
 ポケミス名画座などでせっかくあれだけ復刻されているのに古いノワールを読んでいる人が最近回りにいない状況が、ちと寂しいな。
 ハードボイルドということで言えば、今年は矢作、クラムリーに加えて原りょうも復帰(残念ながら作品の空気はだいぶ軽量化してしまったが)、さらに『不夜城〜最終章』が現われるに及んで高揚感はピークである。来年は打海が『裸者と裸者』の続編を案の定描き始めるし、垣根も続々書いてゆくみたいだ。ヴィンセント・ルピオの第三作もウェストレイクのクライムも楽しみだ。
 そろそろ藤原伊織やマクベインの新作も出頃だと思うのだけれど、とんと噂を聞かない。