鍼灸整骨院

　二軒とも鍼灸整骨院という看板が出ているので違いがわからず、どちらかの一方へ入る。もちろんゴルフ肘を治すため。事情を話し、痛みの部位を示すと、そのあたりに電極めいたものを繋ぎ、モミモミを始める。でもこれは隣の患者をマッサージしている間を適当にごまかしているのではないかという疑いを抱く。鍼灸師、あるいは整骨師であるおじさん一人しかいないのが現状である。
　さて隣の患者が帰って、ようやくぼくの番になる。少し揉んだかと思うとまた違う電極をあてがわれる。超音波なのだそうで、これは部位によっては非常にずーんと響く。鍼を打ってもらいにきたのだが、どうもここはそういう感じではなさそうだ。超音波で少しずつ張りを取ってゆくのだが、どうも本当に痛い部分には手が届いていない感じだ。
　明日と明後日も通ってもらえれば土曜日のラウンドには間に合う、というようなことを言われ、いやぼくは明日から金沢に出張してしまうのだと応える。では、土曜日のラウンドの後半にはきっと肘が痛み出すかもしれないので、できるだけ力を入れないようにプレイしてくださいと言う。まあ、そのつもりではいたのだが、あわよくば痛みを全部取り去りたいと思って、仕事の時間をつぶしてまで出かけてきたのだった。だが、どうもそう思い通りにはゆかないらしい。
　夜になって、別に肘の痛みが取れ去っていないことがわかる。いや、そもそも痛みが全然去っていないことはわかっている。
　保険範囲内なので鍼を打ってもらうよりずっと安上がりではあった。けれど鍼治療の保険適用外5千円くらい払ってもいいからなおしてしまいたかったのである。
　夜、台風被害から復帰したのか、いつもの練習場が再開していたのでつい寄りそうになったけれど、じっとこらえた。帰宅していつものように酒を食らうのであった。