シュンの日記なページ

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死刑囚

 大量に小学生を殺した宅間被告が死刑を執行されたとのこと。加賀乙彦の死刑に関する本やドストエフスキーを読んで、死刑囚について相当多くの思いを費やしたことがあるので、つい気になる。あまりにも容易な死刑で、まるでアメリカみたいだと思った。しかし何ともそっけない記事には映画『デッドマン・ウォーキング』の厳粛さも感じられない。
 加賀乙彦の『宣告』(未だにぼくの読んだ小説のなかの最高傑作でありつづけている)では、死刑制度の最大の残酷さはいつお迎えがくるかわからず一日一日を独房で過ごす死刑囚たちの精神であると訴える。人間が耐え得る限界の精神的極刑。宅間被告はあまりにも早い死刑執行によってそれを免れた。それが犠牲者たちにとってよいことであったのかそうでないのか、まだ判断がつかぬほど早すぎたとしかいいようがない。地獄の記憶が冷め切らないうちに。釜の中の煮え湯がまだぐつぐつとたぎっているうちに。
 一方で栃木県小山市の男が幼児二人を殺したと自供したらしい。一人は川で遺体となって発見されたらしい。その川は昔、ぼくも外回りの仕事で渡ったことのある川だった。その名は、思川(おもいがわ)。何とも言いようのない命名であるように、今では聞こえる。