シュンの日記なページ

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緑茶

 小雨の中、会社の大家さんを訪問する。古いが広い敷地の庭が植物でいっぱいであり、川の土手に沿った自然豊かな場所に、一つだけぽつりとあるような民家だ。他の土地は、倉庫や会社に使われているから。
 広い居間から大きなサッシの窓越しに川の土手道が見え、緑に囲まれているのが見え、74歳になる大家さんは奥さんに先立たれ、息子二人は独立し、広い家に今は一人暮らしだ。
 大きなテーブルの座椅子を薦められ(北海道で和室の居間というのは珍しい部類だ)、そこで話をしている間に、大家さんが緑茶を入れてくれる。ポットから一旦湯受けにお湯を注ぎ、急須に適度なお茶っ葉を入れ、頃合を見計らってから少し温度の下がった湯を急須に注ぐ。二番茶も同じ方法を取る。なんだか久しぶりにきちんとしたお茶を飲んでいる感じだ。ペットボトルではなく。コーヒーメーカーからでもなく。
 しーんと静まり返った和室に、注がれるお湯の音が響く。なんとなくくつろぐ。年寄りの一人暮らしの和室らしい、空気がそこに流れている。
 四半世紀前に荒地だった場所に家を構えたらしい。その後、目の前に高速道路や幹線道路ができたし、ここは高速のジャンクションにも近い。すべて道路計画に基づいた開発であったとのことである。
 現在は工業地域として拡張計画が進められており、道からも売却を提案されたが、大家にはここを移る気持ちがない。そんなことになれば、うちの会社の倉庫や建物も立ち退かねばならなくなる。
 大家さんは河川敷でパークゴルフをやるのが楽しみなのだそうだ。一つの、経済的には恵まれた老後の形を見た気がする。それに、一つの孤独も。