北帰行

　見慣れぬ新都心駅のみどりの窓口で、家族三人分の新幹線の切符を求め、大宮からやまびこに乗り北へ向かう。くりこま高原駅で降り、レトロなくりでんバスに乗り、くりはら田園鉄道に乗り継ぐ。廃線間際のせいか、鉄ちゃんが乗り込みビデオ撮影に余念がない。一両編成の田園をゆくのろのろ電車で終点にたどり着く。
　父の家は留守で門に鍵がかかっていたから、近所でただ一軒のコンビニに歩いてアイスを買う。玄関先でしゃがみこんでアイスを食べていると買い物帰りらしい父がパジェロで到着した。
　パジェロを借りてすぐに荒砥沢ダム直下の山武温泉さくらの湯へ向かう。
　ダム湖の湖畔に先に立ち寄ったが、車が煙を吐いてしまって往生した。三菱パジェロだ。燃えるなよ、と祈り、温泉前でボンネットを開けて、それからゆっくりと風呂に浸かる。
　帰り際、修理工場のトラックに乗ってきた父に出くわした。携帯で電話を入れておいたので心配して、台車を搬んでもらったのだそうだ。田舎の車屋はサービスがいいのだと、父は笑っている。パジェロからシャリオ（こんな名前か？）に乗り換えて、帰路を辿る。やれやれ。